脱脂粉乳=家畜の餌説

学校給食で何を食べてきたってのは、世代判別法になるようです。
給食を語る際に、ある年代から上で圧倒的に多いのが、脱脂粉乳をめぐる話題。
ジブリアニメの「おもひでポロポロ」にもありますが、何かトラウマになるような体験だったみたいですね。私個人はテトラパックに入っていた牛乳を飲んでいた世代なので、その盛り上がりを実感できないのですけれど。
(このテトラパックも最近は、見なくなりました。小学生の息子に聞いても、「三角の? 見たことない」ですから)

脱脂粉乳について、語られてるのが、「あれは家畜の餌だった」と言う話でしょうか。余剰農産物の処分のために、日本人に押し付けたのだと。反米的な文脈で、「だからアメちゃんは、傲慢なんだ」と言う理由の一つにして、オダをあげるのに使われてるみたいです。

(でも、家畜の餌って言うなら、大豆だって、家畜の餌なんですが、それをことさらに指摘する人は、聞いたことがないです)

偶然、こんなのとか、こんなのをを見つけました。

どうやら、脱脂粉乳を選んだのは、日本の文部省側だったようなのです。小麦粉で腹を膨らませるよりも、動物性たんぱく質の不足を補うのが大切だと言うことらしくて。
キーパソンは、東北大学の近藤正二博士のようです。
GHQ側から小麦とミルクのどちらを望むかと言われて、博士は、次のように答えたのだとか。
ミルクの館<学校給食と牛乳>

「子どものたちの食べ物は何もかも不足しているので、実は何でもいいのですが、日本の家庭では何処でも、親たちが自分は食べなくても子どもたちには少しでも沢山食べさせるようにしています。
__一番心配なのは動物性タンパク質の不足です。動物性タンパク質を含む食品が足りないと、どんなにおなか一杯食べても身長が伸びないことは、私のこれまでの研究でわかっているので、小麦粉よりもミルクが欲しいのです。」

2001年12月22日僕達の脱脂粉乳

 なぜ学校給食として脱脂粉乳が提供されたかについては,時期が
手元の資料では明確でないのだが,GHQ民政局と文部省との間で
相談がなされた結果であるという.
 「日本食品標準成分表」編纂のところで述べたように当時我が国
には国民栄養に関する基礎資料が全くなかったため,GHQは当時
東北大学医学部の教授であった近藤正二博士(近藤教授は,長寿者
の多い地域と短命な地域を比較調査した栄養学研究で知られる)に
助言を求めた.近藤教授はGHQからの問い合わせに対し,成長期
の児童には動物性タンパク質が不可欠であり,小麦粉のパンよりも
脱脂粉乳が適当だと回答したとされる.

あの当時、私の父母の世代は、育ち盛りでした。武士は食わねどなんて言って、「家畜の餌」を食わなかったら、栄養不足はもっと深刻になっていたことでしょう。私は、この世に生を受けることなど、なかったかも知れません。

で、その「家畜の餌」の影にも、いろんな人々の善意(それだけじゃないことは、認めますけどね)があったことを忘れてはならないでしょう。

(一説には、安保闘争盛んなおりに、反米の気分を高めるために流された噂なんて話もあるんですけど、はたして…)

ココログからのインポート 2008-11-16)